辻さんに聞きました「職人になってからの話」

DSC_0071_01

 

 

 

 

 

 

 

 

[コンコント]
日本伝統工芸展など作家として出展されたのはどうしてですか?

[辻さん]
ただ職人でいるだけでは面白くないっていう思いがあって、
先生たちから伝統工芸展にだしてみたらと言われて。
それならやってみようということになって、
やりだしたのがきっかけなんや。
負けん気があったんかね。

[コンコント]
負けん気ですか?

[辻さん]
ひとに負けたくないという気持ちがいくらか
あったんだろうと思う。

[コンコント]
当時このあたりだとめずらしいことだったのですか?

[辻さん]
そうやね、めずらしいね。

[コンコント]
なるほど、そうなんですね。
5年ほど前より、辻さんはだれでも気軽に訪れて
作業風景をみることができ、
木地挽きの体験もできる工藝の館という施設を
始めたわけですが、
どういった経緯でやり始めたのですか?

[辻さん]
ここ山中というところは木地を挽くところだけでなく、
塗りや蒔絵(漆で絵を描いて金粉などを蒔く技法)でも
ひとに見せることが全然なかったんや。
どんな仕事でどんなことをやってるか、
子供のときでも見せてもらえなかったし、
木地挽きを習い始めてからも他の木地師が
どんな挽き方しているのか、
どんな鉋(かんな)使っているのか見たいと
思ってもなかなか見せてもらえんかった。

[コンコント]
そうなんですか。
それはどういった思いでそうしたのですか?

[辻さん]
自分の技術を盗まれたくないという気持ちが
あったんじゃないかね。
わしらはそんなんじゃいかんと思ったから、
ひとが来ても平気で木地を挽いたし、見てもらったし。
研修所の講師もわしらみたいな者でも
できるんならいくらでも教えてあげますわってことで
今でも教えにいってるわけだしね。
教えにいくことは、後継者を育成するためにも必要やからね。
技術を見せられないって言ってたらそんなことできないからね。
今では、だいぶ職人もやり方が変わってきていると思う。

[コンコント]
工藝の館で木地挽きの体験ができますが、
当初は同業者からの反対があったとお聞きしたのですが。

[辻さん]
そうやね。
ほかの木地師から体験なんてやらすもんじゃないって
言われたことはある。
だけど、体験をやらせたからといって
技術が盗まれるわけじゃないし、
そもそも簡単に盗まれるような技術なら大したことない!
っていうことだしね。

[コンコント]
そうですよね、そんな技術なんて大した技術ではないですよね。

[辻さん]
木地挽きの体験でお客さんに喜んでもらってるし、
感謝の手紙も届いたりするから、やってよかったって思っとるよ。

Pocket

2014-10-13 | Posted in BlogComments Closed 

関連記事