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辻さんに聞きました「職人になってからの話」
[コンコント]
日本伝統工芸展など作家として出展されたのはどうしてですか?
[辻さん]
ただ職人でいるだけでは面白くないっていう思いがあって、
先生たちから伝統工芸展にだしてみたらと言われて。
それならやってみようということになって、
やりだしたのがきっかけなんや。
負けん気があったんかね。
[コンコント]
負けん気ですか?
[辻さん]
ひとに負けたくないという気持ちがいくらか
あったんだろうと思う。
[コンコント]
当時このあたりだとめずらしいことだったのですか?
[辻さん]
そうやね、めずらしいね。
[コンコント]
なるほど、そうなんですね。
5年ほど前より、辻さんはだれでも気軽に訪れて
作業風景をみることができ、
木地挽きの体験もできる工藝の館という施設を
始めたわけですが、
どういった経緯でやり始めたのですか?
[辻さん]
ここ山中というところは木地を挽くところだけでなく、
塗りや蒔絵(漆で絵を描いて金粉などを蒔く技法)でも
ひとに見せることが全然なかったんや。
どんな仕事でどんなことをやってるか、
子供のときでも見せてもらえなかったし、
木地挽きを習い始めてからも他の木地師が
どんな挽き方しているのか、
どんな鉋(かんな)使っているのか見たいと
思ってもなかなか見せてもらえんかった。
[コンコント]
そうなんですか。
それはどういった思いでそうしたのですか?
[辻さん]
自分の技術を盗まれたくないという気持ちが
あったんじゃないかね。
わしらはそんなんじゃいかんと思ったから、
ひとが来ても平気で木地を挽いたし、見てもらったし。
研修所の講師もわしらみたいな者でも
できるんならいくらでも教えてあげますわってことで
今でも教えにいってるわけだしね。
教えにいくことは、後継者を育成するためにも必要やからね。
技術を見せられないって言ってたらそんなことできないからね。
今では、だいぶ職人もやり方が変わってきていると思う。
[コンコント]
工藝の館で木地挽きの体験ができますが、
当初は同業者からの反対があったとお聞きしたのですが。
[辻さん]
そうやね。
ほかの木地師から体験なんてやらすもんじゃないって
言われたことはある。
だけど、体験をやらせたからといって
技術が盗まれるわけじゃないし、
そもそも簡単に盗まれるような技術なら大したことない!
っていうことだしね。
[コンコント]
そうですよね、そんな技術なんて大した技術ではないですよね。
[辻さん]
木地挽きの体験でお客さんに喜んでもらってるし、
感謝の手紙も届いたりするから、やってよかったって思っとるよ。
辻さんに聞きました「辻さんの小さいころの話」
[コンコント]
辻さんは小さいころ、どんなお子さんだったのですか?
[辻さん]
とにかく家の手伝いをよくしてた。
小学1年生のときから田んぼに行ったり山に行ったりして、
家の手伝いをよくしてた。
中学校に行っても学校に行きながら、田んぼの手伝いを
いっぱいした。
そういうお子さんでした。(笑)
[コンコント]
お父さんも木地師だったんですよね?
[辻さん]
そうや。
[コンコント]
いくつぐらいから木地師の仕事をやり始めたのですか?
[辻さん]
小学生のときからオヤジのあとを継がないかんと思っていた。
木地さえ挽ければいいんだと、オヤジにもばあさんにも
言われていたし。
中学校を卒業したら木地師になるという気持ちでいた。
中学1年の9月から学校の選択科目で木地の授業を受けてたんや。
[コンコント]
そんな早くから木地を挽く勉強をしていたんですね!
[辻さん]
そうや。
12歳で木地師の仲間入りしたということになるわけや。
卒業するころにはそこそこ木地を挽きけるようになっていた。
上田先生という加飾挽きの名工に学校で教えてもらっていた。
ひとづてにその上田先生が自分のことを、腕がよく、
上達が早いと言っていたことを聞き、ものすごいうれしかった。
[コンコント]
昔から素質があったんですね?
[辻さん]
いやいや、それはわからんけど、
褒め言葉をもらってうれしかった。(笑)
[コンコント]
お父さんからも木地の挽き方を習ったりしたのですか?
[辻さん]
中学卒業してからはオヤジといっしょに
木地師としてやるようになったわけだが、
あんまりこういうふうにやるとうまく挽けるとか、
こんなふうに鉋(かんな)曲げるといいとか
オヤジに教えてもらった覚えがないんや。
「なんだかんだ言わずに見とれ!」と
言われた覚えはある。(笑)
[コンコント]
そうですか。
習うより慣れろというわけですね。
[辻さん]
そうやそうや。
〜つづく〜
地元石川県の新聞にプロジェクトについて掲載されました!
本日よりクラウドファンディングサイトCAMPFIREでコンコント第一弾プロジェクト
が公開されました。
今日はプロジェクト公開以外にうれしいことがありました!
石川県を代表する地元紙、北國新聞の朝刊に今回のプロジェクトについて記事を
載せていただきました!
新聞の取材を受けるのは初めてだったので、どんな記事なるのか不安でしたが、
大きく取り扱ってくださいました。
北國新聞さん、ありがとうございます!
新聞掲載の報告もかねて、プロジェクトに協力いただいている工藝の館の辻さんに
会いに行きました。
辻さんが作業されている場所に行くと、若い女の子たちに囲まれている辻さんが目に
飛び込んできました!
辻さんモテモテ・・・・
女の子たちに話を聞いてみると、この近くにあるろくろ技術研修所の研修生という
ことでした。
実は辻さんは週に一度、そのろくろ技術研修所でロクロ挽きを教えに行っているのです。
今日の新聞に辻さんのことが載っていたこともあって見学に来たらしいです。
それにしても辻さん、若い女の子に囲まれてうれしそう!!
自分も辻さんの作業風景を研修生といっしょになって眺めているとお昼の時間に
なりました。
というわけで、みんなで近くのそば屋さんにお昼を食べにいこうということに
なりました。
歩いて数分の場所に「山ぼうし」というそば屋さんがあり、そちらに行きました。
みんなでかき揚げそばを仲良く食べました。
すると辻さんが「このうつわはわしがつくったんじゃー」と。
こんな近くのそば屋さんにも辻さんのうつわが使われているなんて。
そばを食べ終わったあと、みんなでうつわをまじまじと眺めていました。
どうしてクラウドファンディングに挑戦するのか vol.1「ジョブズと禅について」
どういった経緯で今回のプロジェクトを思い立ったのかを何回かに分けて
書き留めていきたいと思います。
今年の5月に、とあるベンチャーキャピタリストに、新規事業の話を聞いてもらったことが
ありました。
そのときに、伝統工芸のデザインについての話になり、そのベンチャーキャピタリストは
Appleのデザインのあり方について勉強するとよいということを語っていました。
しかし、そう言われたときの私は、Appleのデザインの概念についてまったくの無知でした。
そこで、Appleについて調べる、イコールジャブズについて調べるといった感じでいろいろな
情報を集めていきました。
そうすると“禅”というキーワードにぶちあたりました。
iPhoneのデザインは禅の教えの影響を受けているということ。
禅の精神修行のひとつである、坐禅は心を無の状態に近づける修行です。
iPhoneは無駄なデザインを極力省いてシンプルな形状にしたことが禅の教えに影響を受けていると
言われています。
それとパソコンという持ち運びできないモノを、どこにでも持ち運べるツールにしたという部分も
禅らしいと言われています。
禅についてさらに詳しく理解したいと思い、石川県金沢市にある大乗寺の日曜坐禅会に足を
運びました。
秋の味覚を味わう
クラウドファンディングの打ち合わせで、
工芸の館の木地師 辻さんに会いに行きました。
お茶うけに辻さんの奥さんお手製の栗の渋皮煮を頂きました。
市販の栗の渋皮煮はとても甘いものが多いですが、頂いたものはほどよい甘さで、
栗の香りが口全体に広がっておいしかったです!
生栗も頂いたので、秋の味覚を楽しみたいと思います。
栗の渋皮煮づくりにも挑戦したいですね。
禅と職人について
禅と職人について最近よく考えます。
禅というものについてまだ十分に理解していない部分があり、一部間違った認識が
あるかもしれませんが、大目に見ていただけるとありがたいです。
禅の基本的な修行法として坐禅があります。
坐禅ついてとても簡単にいうと、姿勢を正して、心を無にする精神修行です。
禅宗の一派である曹洞宗には只管打坐という“ただひたすらに坐禅すること”をさす言葉があります。
“ただひたすらに坐禅すること”と
ものづくりの職人が“ただひたすらにモノをつくること”
このふたつの言葉には近いものがあるのではないかと感じています。
職人はそう簡単には一人前にはなれません。
何年も修行を積む必要があります。
工芸の世界の職人はまとまった数のモノをひとつとして狂いなくつくらなければなりません。
熟練の職人になると、身体が勝手に動くという感覚になるのではないかと思います。
そして、心が無に近い状態になるのではないかと思います。
ようするに、職人というひとたちは仕事を通して、坐禅と同じような精神修行を
行っているのではないかと思うのです。
日本の禅文化を世界に広く知らしめた鈴木大拙という方がいます。
その弟子に民藝運動に力を注いだ柳宗悦という方がいます。
民藝運動で柳宗悦は無名の職人がつくった日用的な工芸品の中に美を見出し世に広めました。
こういうことから禅と工芸の職人の間にはなにか精神的なつながりがあるような気がします。